監視? 健康管理? 社員の「人間関係」まで可視化できる“働き方改革ツール”とは

 人工知能(AI)などの導入で、生産現場やオフィスでの働き方が大きく変わろうとする中、デジタル化によって職場環境を改善する「働き方支援ツール」が開発された。身に付けた端末で社員の体調やストレス、行動を常時把握し、データから職場の状況や人間関係も可視化できるという。社員の健康を管理する「健康経営」をキーワードに、新市場としても期待がかかる。SF映画のようなオフィスを訪ねてみると…。
この記事はヤフで取りました:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180820-00000515-san-bus_all
パワハラも早期発見

 国内初のサービスという働き方支援ツールは、オリックスのグループ会社、ユビテック(東京都港区、荒木克彦社長)が開発した。

 生産性や企業価値を高めるための「健康経営」が注目され、腕時計型などのウエアラブル端末で社員の健康状態を把握したり、データを管理できるサービスはある。

 これに対し、同社の支援ツール「Next Work」は、社員が腕時計型の端末を装着すると、心拍数の変化から割り出すストレス度▽身体負荷▽どこをどう歩いているかの動き▽加速度センサーなどによる転倒-を検知し、管理部門のディスプレーや管理者のパソコン、スマートフォンなどにリアルタイムで表示する。日々の労働時間を含め、一連のデータを統計化することもできる。

 ストレス度の数値が上がったときに、その社員が会議中であるとか、何の作業をしているか、誰と話をしているかなどをリアルタイムや事後にキャッチ。それによって、パワハラや負荷のかかる行動を把握できるという。

 同社はモノのインターネット(IoT)ソリューションの開発や電子機器、ソフトウエアの設計などを手がけており、こうした技術を応用した。商品化と同時に、試験導入するトライアル企業を募集し社内でも実証データの蓄積を続けている。

■未来型オフィス

 実証実験中の同社を訪れると、会議室にオフィスの間取りを示した大きなモニターがあり、いくつもの緑の円が通路を移動したり、デスクにとどまったりしていた。

 それぞれの円には社員の名前が書かれ、色が赤く表示されている円もある。医療機器ではないため、基準値はないが、「日々の蓄積データよりも、ストレス度が高くなるなどの変化があると、色が変わる設定にしてある」(同社)という。

 10メートル間隔で設置した受信機で端末の情報を取得する。端末を付けた社員がオフィス内をぐるりと1周すると、緑色の円がディスプレー上を1周した。

 導入企業では、出社時に社員が端末を腕に付け、1日を過ごすことになる。端末は、ベルトをきつく締めなくてもデータが取れるというが、腕時計と一緒に付けるにしても、反対の腕に付けるにしても、違和感はある。

 常に行動が監視される形になるが、食堂やトイレなどには、端末の情報を拾う受信機を置かないなどの工夫で、業務中以外のプライバシーを守ることもできるという。

 サービスは、ウエアラブル端末が1台1万5000円、受信機が2万円、サービス利用料が1人月額2000円。

■健康経営の新市場

 1日の歩数、距離、消費カロリーなどの運動量や睡眠時間を測定できるウエラブル端末による健康管理市場には、健康器具メーカーが参入しているほか、電機メーカーも事業展開に乗り出している。

 NECも今年6月、心拍データから感情を分析する「感情分析ソリューション」の提供を発表した。名古屋市立大と共同開発中の感情認識システムを活用、交感神経と副交感神経のバランスを分析し、「興奮や喜び」「憂鬱や疲労」などの感情変化の履歴を可視化、会話量なども把握できるという。

 企業は社員のストレスチェックが義務づけられているほか、深刻な人手不足や働き方改革のもとで社員の健康管理の重要性は高まっており、新たな市場として急成長する可能性がある。(経済本部 大塚昌吾)

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