蛍光灯は不燃ごみ?水銀の危険性は 処理法、自治体に差

 発光ダイオード(LED)ランプの普及が進む中、今も多く見掛ける蛍光灯には微量の水銀が含まれている。福岡県筑紫野市に住む男性(80)から「使用済みの蛍光灯がごみとして収集される際、割れて水銀が出たら危ないのでは」と心配する声が西日本新聞の特命取材班に寄せられた。調べてみると-。
この記事はヤフで取りました:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180820-00010001-nishinp-soci
 同市では蛍光灯は不燃ごみに分別され、収集車で回収されている。不燃ごみの日の第4木曜日、ごみ置き場を回ってみると、「不燃物用指定袋」と書かれたピンク色のごみ袋の中に蛍光灯をいくつも見掛けた。

 収集車に積まれたごみが回転板でつぶされると、蛍光灯も割れる。水銀が外に出て気体に変わり、空気中に拡散し、住民らが吸い込むことはないのか。

 「1本割れたからといって、中の水銀が環境や人体に直接影響を与えることは考えにくい」。有害物質の処理に詳しい京都大大学院工学研究科の高岡昌輝教授が教えてくれた。

 水銀は火山の噴火や火力発電所から排出される物質にも含まれ、空気中に存在している。私たちは無意識に吸い込んでいるが、健康被害の心配はないという。

 環境省によると、全国の自治体が約20年前から毎年測定している大気中の平均水銀濃度は、人体に有害な可能性がある指針値の20分の1程度で推移している。

「今からできるだけ割らない方法で回収することが望ましい」の指摘も

 とはいえ、水銀が有害物質であることに変わりはない。昨年8月に発効し、日本を含む90以上の国と地域が締結している「水銀に関する水俣条約」(水俣条約)では、環境汚染や健康被害を防止するため、空気中に存在する水銀量を減らすことや、水銀を含む蛍光灯の製造禁止などが盛り込まれた。

 高岡教授によると、大気中に出た水銀は蓄積するため、微量でも環境への総排出量を増やすことになるという。「将来起こるかもしれないリスクを回避する意味で、今からできるだけ割らない方法で回収することが望ましい」と指摘する。

 水俣条約の採択を受けて環境省は、水銀を含む製品と他のごみを分別し、割れないように処理するよう各自治体に求めるガイドラインを策定した。


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自治体によって異なる対応

 実際には、自治体によって対応が異なる。

 熊本市の場合、割れた蛍光灯も含め、不燃ごみとは別に「特定品目」として回収。収集車でなくトラックの荷台に載せ、割れない工夫をしている。熊本市廃棄物計画課は「熊本は水俣病の歴史を持っている。率先して水銀を削減したい」。

 鹿児島市のように「蛍光灯の日」を設けてリサイクル業者に収集を依頼したり、福岡市のように家電量販店に回収ボックスを設置して住民に持参するよう促したりする自治体もある。

 一方、割れた蛍光灯については、不燃ごみとして回収する自治体が少なくない。環境省ガイドラインは、ごみ袋内で他のごみに水銀が付着しないよう求めるが、収集の現場で、他のごみと選別する手間をかけている例は少ない。

 メチル水銀を含む工場排水によって引き起こされた水俣病は、重い教訓を残した。LED化が進んでも、設置台数ベースでは古い蛍光灯が多く残っている。

 「割れた蛍光灯をごみに出す場合、水銀が漏れないように箱に詰めたり、袋の結び目をテープで留めたりするなどの工夫をしてみては」と高岡教授。次世代のために、私たち住民の側もできることがありそうだ。

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