<西日本豪雨>「避難遅れ」心理調査へ 広島県

西日本豪雨で108人が死亡した広島県は、当時避難しなかった理由などを被災者に尋ね、心理状態を分析する初の調査に乗り出す。土砂災害による死者の半数近くが被害の想定されていた「土砂災害警戒区域」などで亡くなり、避難情報も行動にほとんど結びついていないため、「逃げ遅れ」が被害を拡大したと判断した。今秋にも被災地ごとに聞き取りを始め、年度内にも調査結果をまとめ早期避難による減災を目指す。【東久保逸夫、小山美砂】

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 県内では87人が土砂災害で死亡し、うち41人が土砂災害警戒区域や指定予定地で死亡した。各市町は区域の住民に土石流被害などの想定範囲を示すハザードマップを配布することが義務付けられ、予定地も公表している。このため、一定の危険性は周知されていたとみられる。一方、大雨特別警報が発令された7月6日午後7時40分から、各市町が避難指示などを出し終えた同10時半までに、避難所へ逃げたのは対象者216万9609人のうち0・3%の5788人にとどまった。

 県は77人が犠牲になった4年前の広島土砂災害(広島市)などを踏まえ、砂防ダムをはじめとする施設整備や警戒区域の指定を進めてきたが、今回の豪雨被害を受け、ハード面中心だった従来の対策を見直す。

 調査では同じ被災地で避難した人、避難しなかった人と行動が分かれた点に着目。被害が甚大だった複数の被災地で、被災者に避難した理由やきっかけを問い、避難しなかった人にも理由などを尋ね、判断が分かれた要因を分析する。さらに自治体の避難情報の出し方などを検証し、避難に結びつける情報提供の在り方も探る。広島市も、学識経験者らによる検証会議を設置して豪雨での避難行動を分析する方針だ。

 県によると、東日本大震災熊本地震の被災地で自治体による同様の調査例はなく、避難行動を巡る初の大規模な調査になるという。

 県担当者は「どのような方法なら危機感を持って避難してもらえるのか、行動心理学の分野から今回の災害対応を検証していきたい」と話している。

 ◇説得方法、検討を

 広瀬弘忠・東京女子大名誉教授(災害リスク学)の話 逃げ遅れの一因には心理学で言う「正常性バイアス」がある。変化に過敏に反応せず、異常事態も過小評価して平静を保とうとする心の働きで、「自分は大丈夫」と過信しがちだ。また「昔は大丈夫だった」という経験から避難しないなど「経験の逆機能」が働いた可能性もある。今回の調査を踏まえ、行政は住民を避難させる説得方法を考えていくことが重要だ。


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