佐々木竹見氏独占手記、“大井の帝王”的場文男に脱帽「根性の人。負けず嫌い」

 的場文男騎手(61)=大井・騎手会所属=が12日、佐々木竹見元騎手(76)=川崎=が保持していた地方競馬最多勝記録を更新した。それでも、佐々木氏は的場騎手より約1500回少ない騎乗機会(3万9060戦)で7151勝をマーク。驚異の勝率18・3%、連対率32・7%を誇る“鉄人”が、“帝王”に祝福と感謝の言葉を贈った。

【写真で見る】7000勝を達成して佐々木竹見元騎手と握手をかわす的場文男騎手

 やっと勝ちましたね。記録更新までひと桁台になってから、なかなか勝てませんでした。記録が近づくと勝ちたい一心で、平常心で乗れないこともあるものです。

 的場君が昨年5月に川崎で7000勝を達成したとき、僕の記録を更新するだろうなと思いました。年間100勝以上するジョッキーですからね。本人は6500勝あたりから、そう思っていたんじゃないですか。

 一緒にレースをしていた当時と一番の違いは追うタイミングです。あの騎乗スタイルは的場君ならではのもの。若い人には勧めません(笑)。(自身は的場騎手より少ない騎乗機会で7151勝を達成したが)大井は開催が多いし、有力馬が地元の騎手に回ってくることもあるでしょう。それでも、あの年まで現役バリバリで乗っているんですから。もう偉い。さすが的場君。体が丈夫だし、根性の人。それに負けず嫌い。家族の努力、サポートも大きかったと思います。

 僕は記録を作りたいという気持ちは特にありませんでした。ただ、南関東のリーディングだけは絶対取るという覚悟を持って乗っていました。的場君の記録更新が近づくにつれ、記録保持者である僕もさまざまなメディアで取り上げられて、17年前に引退した『佐々木竹見』という名前と功績を、僕を知らない若い世代にも広めてもらったと感じています。光を当ててもらったことに感謝します。

 的場君は少し焦るところがありますから。これからも焦らず、気をつけて乗ってください。新記録おめでとう。そして、ありがとう。(元川崎競馬騎手)

■佐々木 竹見(ささき・たけみ)

 1941(昭和16)年11月3日生まれ、76歳。青森県上北町(現東北町)出身。60年6月に騎手デビュー。64年に320勝を挙げてリーディングを獲得すると、78年まで15年連続リーディングに輝き、“鉄人”と称された。2001年7月8日に引退。通算7151勝(ほか中央20戦2勝、海外12戦0勝)。東京大賞典3回、川崎記念2回など、重賞は143勝。騎手引退後は12年3月まで、地方競馬全国協会参与として後進の育成に携わった。