芸能人が報道番組でニュースを伝えるのは、日本ならではの光景

今月6日、ジャーナリストの池上彰氏が「文春オンライン」でニュース番組に芸能人が出演していることに対し、質問に答える形で意見を述べた。池上氏は、個々の番組についてコメントする立場にはないと断りつつも、ニュース番組では聞き手に芸能人がいる演出はアリだが、ニュースを伝えたり解説する役目を芸能人が務めることには違和感を禁じ得ないとした。なんでも海外が正しいわけではないだろうが、確かに芸能人が報道番組でニュースを伝えるのは日本ならではの光景のようだ。

 日本では、同じジャニーズタレントのTOKIO国分太一が「ビビット」(TBS系)、嵐・櫻井翔が「NEWS ZERO」(日本テレビ系)、KAT-TUN・中丸雄一が「シューイチ」(同)、TOKIO城島茂が「週刊ニュースリーダー」(テレビ朝日系)、少年隊・東山紀之が「サンデーLIVE!!」(同)、Hey! Say! JUMP・伊野尾慧が「めざましテレビ」(フジテレビ系)など、それぞれMCだったりコメンテーターだったりと、関わるウェイトこそ異なるがニュース番組や情報番組にレギュラー出演し活躍している。また、ジャニーズだけではなく、「スッキリ!」(日本テレビ系)の加藤浩次をはじめ、お笑い系タレントもいまやおなじみの顔となっている。

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 「ニュースを伝えるのは取材キャリアのある専門的なジャーナリストの仕事、というのはまっとうな意見だと思います。芸能人が出ていれば視聴率は取れるかもしれませんが、ネット時代にうかつなことを言えばすぐに炎上する昨今、芸能人キャスターがあまり増えるのはいかがなものでしょうか」と、ニュース番組のあり方を危惧するのは週刊誌の50代男性デスクだ。

一概にタレントだからいけない、ジャーナリストならOK、とするのは短絡

 ただ、肯定的な意見もある。

 「そんなことを言ったら、久米宏さんが『ニュースステーション』をやったときも最初は違和感がありましたよ。アナウンサーとしてはプロだったしマスコミ人ではあったけれど、報道のキャスターとしての実績はなかったですからね。だけど、久米さんならではのやわらかさとシャープさを兼ね備えた目線が、ニュース番組の新しいスタイルを築いた。テレビのニュースは“ニュースショー”でもあるんです。親しみあるタレントが悲しい事件にふれて涙ぐむほうが物事が伝わることもある。炎上というけれど、ジャーナリストがやっても炎上するときは炎上します。一概にタレントだからいけない、ジャーナリストならOK、とするのは短絡。日本だけ? 大いに結構じゃないですか」と、熱弁するのは通信社に勤務する60代男性記者だ。

この記事はヤフで取りました

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芸能人キャスター続々の背景には、タレント側の事情も

 ネット上でも今回の小山の件を受けて、芸能人キャスターの賛否についてもさまざまな意見が飛び交う状況だが、芸能人が起用される裏には番組側の事情ばかりではなく、タレント側の事情もあるようだ。

 「次々と新しいタレントが登場するなか、タレントは自身のキャラクターを確立しなければ埋もれてしまう。ニュース番組やスポーツ番組も、そういったタレント活躍の一つのジャンルとして考えられるわけです。とくにジャニーズさんのように大所帯の事務所だと、所属タレントの芸能活動を長持ちさせるためにも、個々を差別化していかなくてはいけないという切実な事情があります」と、指摘するのは芸能プロダクションの50代男性マネージャー。

 そんな背景のもと、大学に進学したり、しゃべりが得意だったり、といったポイントからニュース番組にプッシュしてみたくなるタレントも出てくるようだ。実際にやってみなければわからない、向き不向きもあるだろう。

 それぞれの立場から意見は分かれるだろうが、「あっちの番組がタレントを起用して好調だからこっちも」と同じ傾向に走るのではなく、本格的な取材と検証に基づいた解説色の強い番組から、楽しくわかりやすさを優先するバラエティー色の強い番組まで、さまざまなスタイルのニュース番組が許容されるなか、視聴者が視聴者のセンスで選択できることが大事といえるのではないだろうか。ただどんなスタイルであってもニュース番組である以上は、情報の精度については万全を期すことのできる体制が整っていなければならないが。